紳士靴すべり革修理

快適に安全に歩くために靴には様々な工夫がされています。

滑ってはいけないところには滑りにくい素材を使い、汗をかきやすい部分には汗の吸収性に優れた皮革を使うなど靴を履くお客様の事を考えて作られております。

特に歩く時に靴が脱げないようにしっかり足のかかとをホールドする役割のあるすべり革は大切な部分の一つです。

すべり革は腰裏もしくはクォーターライニングとも呼ばれております。

靴を履いた時にかかとを包み込む裏側の革の部分です。

1日に何万歩という歩行をサポートしていますので擦れて穴があいてきたり、破れてきたりします。

擦れたり破れたりした場合は新しい革を貼る事で修理出来ますのでご安心下さい。

すべり革の擦れや破れとはどのような状態か?

すべり革は擦れてくると下の画像のような状態になります。

画像の説明

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履き口部分の革もしくは布が擦れて薄くなり、縫い付けてあった糸も擦れてしまいすべり革が剥がれてきた状態です。

この剥がれた部分に靴を履く度にかかとがぶつかり剥がれが大きくなってきます。

剥がれた部分を縫い付けるだけでも一時的には大丈夫ですがすぐに同じような状態に戻ってしまいます。

修理する際は新しい革でカバーする事で丈夫にしっかりと直します。

すべり革のダメージは早めのメンテナンスが基本です

すべり革のダメージをそのままにしておきますと、履き心地が悪いだけではなくかかとの部分のアッパーが破れたりする原因になります。

かかとのアッパーが破れて修理する方法もあるのですが見た目良く修理するのが困難ですし、修理期間も日数がかかります。

かかとのアッパーの部分には芯材が使われており美しいかかとのカーブを形作っております。

その芯材が表面に出てきて痛んでしまい、かかとの型崩れの原因にもなります。

芯材が使われるほどアッパーのかかとの部分は重要な箇所なんですよ。

すべり革修理方法

Step1 まず最初はすべり革専用の材料を靴の履き口の部分に取り付けます。

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Step2 取り付けたすべり革をミシンで縫い付け,剥がれてくる事がないようにします。

画像の説明

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Step3 ミシンで縫い付けたすべり革を内側に折り込んで接着します。

画像の説明

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ミシンで縫った糸が内側から見えないように仕上げました。
このように仕上げる事でかかとで擦れて糸が切れてしまう事を予防します。
ちょっとした工夫ですが修理箇所が丈夫に長持ちするようにします。

使用した革はヌバック。

靴を履いていて丁度良いホールド感です。

まとめ

  • すべり革は1日何万歩という歩行をサポートする大切な部分です。
  • すべり革は擦れて剥がれてきたり、破れてきたりする事があります。
  • すべり革のダメージをそのままにしておくと、アッパーのかかとの部分の型崩れの原因にもなります。
  • 擦れたり、破れてきたすべり革は新しい革でカバーして修理する事が出来ます。
  • ヌバックの革をミシンで縫い付けて剥がれてこないように丈夫に仕上げる事が出来ます。

長い年月お履きになった靴はすべり革も傷んでいる事があります。
一度靴を点検してみて、もし傷んでいましたら当店にご相談くださいませ。